定時はとっくに過ぎているのに、まだ誰も帰らない。日報を書き終えて外に出ると、もう駅前の店はほとんど閉まっている。「営業なんだから当たり前」と言われるたびに、自分の時間がすり減っていく感覚だけが残る——。
この記事は、営業の残業と長時間労働に消耗している20代に向けて書いています。残業が辛いのはあなたが弱いからではありません。「帰れない構造」になっている会社なのか、環境を変えれば抜け出せるのかを、家電量販店から法人営業・インサイドセールスへ移った僕自身の実感を交えて整理します。
この記事の結論
・残業が常態化している営業現場は、個人の頑張りではなく「仕組み」で長時間労働になっていることが多い
・同じ営業でも、商材・顧客・働き方によって拘束時間はまったく違う。全部の営業が帰れないわけではない
・「辞めグセがつく」より先に、今の消耗で判断力が削れていくほうが怖い。動くなら20代のうちが圧倒的に有利
「残業がつらい」の正体は、たいてい根性ではなく構造
残業が続くと、人はまず自分を責めます。「要領が悪いからだ」「他の人はこなせているのに」。でも、営業の長時間労働の多くは個人の能力ではなく、会社側の仕組みでそうなっています。
厚生労働省の「令和5年 雇用動向調査」でも、前の職場をやめた理由として「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」は男女ともに上位に挙がり続けています。つまり、労働時間で限界を感じて辞める人は毎年たくさんいて、それはごく普通の判断だということです。
移動と「持ち帰り」で一日が溶ける
訪問営業だと、移動の往復だけで何時間も使います。顧客対応が終わるのが夕方で、そこからようやく見積もり・提案資料・日報。日中は売るための時間、事務作業は定時後、という配分になっている会社は、構造的に残業が前提です。
数字を追う時間に「終わり」が設定されていない
「目標に届くまで帰るな」という空気の職場では、終業時刻が意味を失います。達成していなければ居づらく、達成していても次月の数字が始まる。ゴールが動き続けるマラソンを、毎日走らされているようなものです。
休みの日も、頭が仕事から離れない
物理的な残業時間だけが問題ではありません。休日に顧客からの連絡が気になる、日曜の夜になると胃が重い。拘束されていない時間まで仕事に侵食されると、回復する暇がないまま次の週が始まります。これが一番、静かに人を削ります。
こうして書き出すと分かるのは、どれも「あなたの努力不足」ではないということです。僕が家電量販店にいた頃も、休憩を削って売り場に突っ立っているのが当たり前でした。頑張っても「ロボットが売った方がマシ」と言われるだけで、時間と気力が一方的に減っていく。あの消耗は、場所を変えて初めて「異常だった」と気づきました。
「今の会社しか知らない自分に、転職できるような強みなんてあるのか」——残業で疲れ切っていると、そこで足が止まります。一人で抱えていたこの不安を、僕は結局プロに言語化してもらって初めて動けました。あの頃の自分に教えたいのがこれです。
「帰れない営業」と「帰れる営業」は、別の仕事だと思っていい
営業という一語でくくると、どれも長時間労働に見えます。でも実際は、商材(有形か無形か)、顧客(個人か法人か)、売り方(訪問か・内勤か)で拘束時間は大きく変わります。残業が嫌=営業に向いていない、ではありません。向いていないのは「その働き方」のほうかもしれない、と切り分けるのが最初の一歩です。
残業から抜け出しやすい営業・働き方の方向
インサイドセールス(内勤型の営業)
IS(インサイドセールスとは?)は、オフィスや在宅から電話・メール・オンライン商談で見込み客に対応する営業です。移動がない分、時間の読みが立てやすく、残業が青天井になりにくいのが特徴。僕自身も法人営業からISに移って、「移動で一日が溶ける」感覚が消えました。
ルート営業・既存顧客中心の法人営業
新規開拓中心のような「数字に終わりがない」働き方に比べ、既存のお客様を回るルート営業は、訪問サイクルが決まっていてスケジュールが安定しやすい傾向があります。関係づくりが評価されるため、無理な夜討ち朝駆けを求められにくい現場も多いです。
営業以外も含めて「労働時間」を軸に選ぶ
営業そのものに疲れているなら、営業事務やカスタマーサクセスなど、顧客と関わりつつも拘束時間が読みやすい職種も選択肢です。大事なのは職種名より、「残業の少なさ」を転職の優先条件として最初に言語化しておくこと。ここが曖昧だと、同じ環境を引き当ててしまいます。
とはいえ、残業の少ない会社ほど人気で、面接の通過がカギになります。僕は「話すことをキーワードだけ決めて、結論から言う」練習にプロが付き合ってくれて、面接の不安がかなり消えました。
「帰れる働き方」に移って、変わったこと・変わらなかったこと
家電量販店から法人営業、そしてインサイドセールスへと移ってきて、はっきり変わったのは「時間が自分の手に戻ってきた」ことでした。移動で一日が溶けることがなくなり、終わりの時刻が読める。平日の夜に、焦りじゃなく自分の予定で動けるようになったのは、当時の僕にとって想像以上に大きな変化でした。
一方で、正直に言うと全部が魔法のように解決したわけではありません。数字を追うプレッシャーそのものは、営業である以上ゼロにはならない。環境を変えても「売る」という仕事の芯は残ります。だからこそ大事なのは、「営業が全部つらい」と一括りにして逃げ場をなくすのではなく、自分が何に消耗していたのかを言葉にして、避けるべき働き方だけをピンポイントで外していくことでした。残業と長時間拘束という“環境の問題”は、場所を変えれば確実に軽くなります。
辞める前に、これだけは整理しておきたい
「転職が早すぎないか」「次で失敗したら後がない」——その不安を一人で抱えていた頃の僕を支えてくれたのは、20代専門で一緒に考えてくれるサポートでした。
「エージェントに頼るのもまだ不安」という人には、面接や自己分析を基礎から教わって身につける選択肢もあります。
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