今日も、フロアに突っ立ったまま一日が終わった。「そんな売り方ならロボットにやらせた方がマシだ」——上司に言われたその一言が、家に帰ってからも頭の中で鳴り続けている。じゃあ何がしたいのかと聞かれても、答えられない。やりたいことなんて、正直わからない。でも心のどこかで、自分はこんなところで終わる人間じゃない、とも思っている。
この記事でわかること
・「やりたいことがわからない」のは、あなたの能力の問題ではないこと
・毎日の虚無感が、実は転職を考えるサインになっている理由
・「何がしたいか」を、一人で抱えて決めなくていい方法
・20代の今だからこそ選べる、営業・IS・CSといった方向性の選択肢
「やりたいことがわからない」の正体
やりたいことがないのではなく、選択肢を知らないだけ
「やりたいことがわからない」と悩む人の多くは、意欲がないわけでも、能力が低いわけでもありません。単純に、世の中にどんな仕事があるのかを知る機会がなかっただけです。小売や接客の現場にいると、日々目に入るのは同じ職種、同じ景色ばかり。比較する材料がなければ、「これがやりたい」と言えないのは当たり前です。僕自身、家電量販店で働いていた頃は、営業という仕事がこんなに種類があることすら知りませんでした。
毎日の虚無感は、あなたが真面目な証拠
「突っ立っているだけで一日が終わる」「自分が何のためにここにいるのかわからない」。この虚無感は、手を抜いている人には生まれません。目の前の仕事に意味を見出そうと真剣だからこそ、意味が見つからないときに苦しくなる。理不尽に詰められても腐らずに考え続けているあなたは、むしろ真面目すぎるくらいなのだと思います。
「次に失敗したら後がない」という思い込み
やりたいことがわからないまま動けない一番の理由は、たいてい恐怖です。「一度つまずいたのに、また間違えたら本当に終わる」。けれど20代の転職は、そんなに一発勝負ではありません。むしろ「何をしてきたか」より「これから何をしたいか、どう伸びるか」で見てもらえる時期です。方向が定まっていないことは、20代においては弱点ではなく、伸びしろとして評価されます。
この「やりたいことがわからない」という不安を、僕は一人で抱えている間はずっと解けませんでした。あの頃の僕に教えたいのが、これです。
やりたいことは「見つける」より「見つけてもらう」でいい
やりたいことは、机の前で腕を組んで考えても出てきません。自分の中を掘るのではなく、外にある選択肢と、自分の適性を突き合わせて初めて見えてくるものです。厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況」(2024年公表)でも、大卒新卒者のおよそ3割が入社3年以内に離職しています。つまり「最初に選んだ場所が合わなかった」人は、あなただけでなくごく普通にいるということ。合わなかったこと自体を責める必要はありません。大事なのは、次はもう少し自分に合う方向を、知っている人と一緒に選ぶことです。
焦って「やりたいこと」を探すほど、見つからなくなる
「早く方向を決めなきゃ」と焦るほど、頭の中はぐるぐる回るだけで答えが出ません。これは意志が弱いからではなく、判断の材料が足りないまま結論だけ出そうとしているからです。知らない選択肢は選べない。だから、まずは「決める」より「知る・並べる」を先にやるのが近道です。やりたいことは、選択肢を広げていく過程で、後から輪郭が見えてきます。
「やりたいことがわからない」ときに確かめたい3つのこと
いきなりやりたいことを決めようとせず、まずは「向かう方向」を絞るために、次の3つだけ自分に聞いてみてください。
この3つは、やりたいことそのものではなく「方向の当たり」をつけるための問いです。全部に答えられなくても大丈夫。むしろ答えに詰まった部分こそ、次に誰かと一緒に掘るべきポイントです。
20代の今から選べる方向性
「営業」と一口に言っても中身はさまざまです。話すのが得意でなくても活躍できる職種もあります。小売・接客からの転職で現実的に狙える方向を、いくつか挙げます。なお BtoB(法人向けビジネスとは?)、IS(インサイドセールスとは?)、CS(カスタマーサクセスとは?) といった用語は、初めて見る場合は用語ページも参考にしてください。
法人営業
個人相手ではなく企業を相手にする営業です。飛び込みでノルマに追われるイメージを持たれがちですが、既存顧客との関係を育てる型も多く、感情労働で消耗しにくい面があります。小売で培った「相手の様子を見て動く力」はそのまま強みになります。
インサイドセールス
電話やメール、オンラインで見込み客とやりとりする内勤型の営業です。台本や流れをあらかじめ用意できるので、「その場で気の利いた一言が出てこない」タイプでも、準備でカバーできます。話すのが苦手という理由で営業を諦めていた人にこそ向いています。
カスタマーサクセス
売って終わりではなく、契約後の顧客がうまくサービスを使えるよう伴走する仕事です。「売り込む」より「支える」に近く、人の役に立っている実感を得やすい。虚無感に苦しんできた人が、意味を感じられる方向のひとつです。
反響型・ルート営業
問い合わせてきた相手に対応したり、決まった取引先を定期的に回る営業です。ゼロから飛び込む必要がなく、精神的な負荷が比較的軽い。まず「営業は自分にもできる」という手応えを取り戻したい人の入口に向いています。
「話すのが苦手だから営業は無理」と、僕もずっと思っていました。でもそれは、準備の仕方を知らなかっただけでした。一人で抱えていた不安を、プロと言葉にするだけで変わります。
量販店・小売で消耗した経験は、転職で「弱み」ではなく「材料」になる
「販売しかしてこなかった」「スキルなんて何もない」と思っていませんか。僕もそう思っていました。けれど法人営業やインサイドセールスの現場に来てみると、量販店で当たり前にやっていたことが、そのまま評価される場面が何度もありました。
「相手を見て出方を変える力」は、そのまま商談で効く
売り場で、急いでいる客と迷っている客で声のかけ方を変えていたはずです。あれは立派な観察力・対応力で、法人営業でも「相手の温度を読む力」として重宝されます。誰にでも同じ台本を読む人より、ずっと強い。
「理不尽に詰められても回してきた」タフさは、面接で語れる
ロボット呼ばわりされても、翌日また売り場に立ってきた。その事実は、打たれ強さや責任感として十分に伝わります。大事なのは、それを「耐えた」ではなく「続けた」「現場を回してきた」と言語化することです。
こうした経験を、自分ひとりで「強み」として並べ替えるのは難しいものです。だからこそ次の一歩は、材料の棚卸しを手伝ってくれる相手を持つことから始まります。
タイプ別に、向きやすい方向をざっくり掴む
「自分がどのタイプか」から入ると、やりたいことの当たりがつけやすくなります。人と深く関わって支えるのが好きなら、売って終わりにならないカスタマーサクセス。ひとりで段取りを詰めるのが得意なら、準備で戦えるインサイドセールス。じっくり課題を考えたいなら提案型の法人営業。厳密な診断でなくて構いません。方向の入口として、記事末尾の適性診断やMBTI診断も使ってみてください。
「やりたいことがないまま動くのは不安」——よくある声への答え
Q. やりたいことが決まってから動くべきでは?
逆です。やりたいことは、動いて情報が増えてから固まるものです。決めてから動こうとすると、いつまでも「わからない」から抜け出せません。方向の当たりだけつけて、あとは相談しながら絞っていくほうが、20代では圧倒的に早い。
Q. これって「逃げの転職」じゃないの?
今の場所が合わないと気づけたのは、逃げではなく前進です。問題は「逃げるかどうか」ではなく「次に何へ向かうか」。向かう先を持って動けば、それは立派な選択で、面接でも前向きに語れます。
まとめ
あのとき僕が本当に欲しかったのは、今の場所から逃げる先ではなく、これから伸びていける場所でした。同じ気持ちがある人には、これが合うと思います。
「エージェントに相談するのもまだ不安」という人には、基礎から教わって身につける選択肢もあります。
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