「自分、営業に向いてないな」
そう感じたこと、ありますよね。お客様に声をかけられない。説明がうまくできない。断られるたびに落ち込む。同僚はスイスイ売っているのに、自分だけ空回り。そのたびに「向いてないんだ」と突きつけられる気がする。
僕も、心の底からそう思っていました。しかも僕には、人前で流暢に話せない事情もあります。内気だし、吃音もある。「営業に向いてない人間ランキング」があったら、上位に入る自信がありました。
でも今は、その「向いてない」という思い込みが、半分は間違いだったと分かります。
先に結論を言います。「向いてない」と感じることの多くは、才能や適性の問題じゃありません。”合う型”と”合う場所”に、まだ出会っていないだけ——それだけのことだったりします。
僕の体験から、その話をさせてください。
僕が「営業に向いてない」と確信していた頃
家電量販店の販売員だった頃、僕は毎日、自分の無力さを思い知らされていました。
まず、お客様に自分から声をかけられない。相手の顔色をうかがってしまって、「今、話しかけたら迷惑かな」と考えているうちにタイミングを逃す。気づけば別の販売員がそのお客様に対応している。
声をかけられても、商品の説明が下手でした。同じ商品なのに、他の販売員のほうが何倍も魅力的に伝える。僕が説明すると、なぜか時間ばかりかかって、お客様の興味がだんだん薄れていくのが分かる。
そして、最後のひと押しができない。提案しても、断られそうになると引いてしまう。押し切れずに、失注、失注、また失注。失注の嵐でした。
いちばんこたえたのは、自分が取り逃したお客様を、別の販売員があっさり成約させる瞬間です。「ああ、自分じゃダメだったんだ」と、自己肯定感がゴリゴリ削られていく。
隣では、いわゆる陽キャの販売員が「すごいな!」と褒められている。その横で、僕は白い目で見られている気がする。あの居心地の悪さは、思い出すだけで胃が痛くなります。
このとき僕が出した結論は、シンプルでした。
「やっぱり自分は、営業に向いてないんだ」
もしあなたが今、これに近い気持ちを抱えているなら——もう少しだけ、読み進めてみてください。
でも「向いてない」の正体は、たいてい別物だった
時間が経って、いろんな経験をした今だから分かることがあります。
「向いてない」と感じるとき、本当の原因は、才能や適性じゃないことがほとんどなんです。だいたい、次の3つのどれかです。
1. 才能の問題だと思っているが、実は”型”がないだけ
売れないのを「センスがないから」と片づけがちですが、多くの場合、ただ”勝ち方の型”を教わっていないだけです。やり方が運任せで、再現性がない。型さえあれば、誰でもある程度のところまでは伸びます。僕が売れなかったのも、才能じゃなく型がなかったからでした。
2. 営業全体が向いてないと思っているが、実は”そのスタイル”が合ってないだけ
ひとくちに営業と言っても、種類は無数にあります。対面か非対面か、個人向けか法人向けか、有形か無形か、新規か既存か。ある営業で全然ダメだった人が、別の営業に移ったとたん水を得た魚になる、なんてことは本当によくあります。「営業が向いてない」んじゃなくて、「その営業スタイルが合ってない」だけかもしれません。
3. 自分が向いてないと思っているが、実は”環境”が向いてない
そもそも、誰がやってもくすぶる環境というものがあります。これについては別の記事で詳しく書いたので、よければそちらも読んでみてください。(→ 営業が楽しくない20代へ。それ、あなたのせいじゃなくて”場所”かもしれない)
つまり、「向いてない」の多くは、才能の判定じゃない。まだ合う型や合う場所に出会っていない、というサインなんです。
僕自身が、まさにそうでした。
口下手な僕が、無形営業で”武器”を見つけた話
家電販売を辞めて、僕は法人向けの無形商材を扱う営業に移りました。仕事の中心は、テレアポ。電話で新規のアポイントを取る仕事です。
正直、「電話なんて、もっと向いてないんじゃないか」と思っていました。でも、やってみて驚いたんです。販売であれだけ僕を苦しめた弱点が、ここではほとんど問題にならなかったから。
顔を見ないから、圧迫感がない
対面だと、お客様の顔色をうかがって声をかけられなかった僕。でも電話なら、相手の表情が見えない。あの「話しかけたら迷惑かな」という呪縛から、すっと解放されました。
周りに見られている感じがない
オフィスでは、周りもみんなテレアポや商談をしています。だから、自分の電話を誰も聞いていない。販売時代の「白い目で見られている」あの感覚が、ここにはなかったんです。これだけで、ものすごく気がラクでした。
話した内容が記録に残るから、振り返れる
電話の内容は記録として残ります。だから、うまくいった人のトークを盗めるし、自分の電話を後から振り返って改善できる。「何が良くて何がダメだったか分からない」販売時代と違って、ちゃんと上達の道筋が見えました。
そもそも「断られて当たり前」という前提がある
テレアポは、アポが取りにくいのが当たり前。みんなそれを分かっている。だから、断られても怖くない。失注の嵐に心を削られていた販売時代とは、失敗の重さがまるで違いました。
気づいたんです。僕は営業に向いてなかったんじゃない。「対面販売」という型が、たまたま自分に合っていなかっただけだったと。
そして、口下手なことすら武器になりました。流暢に話せないぶん、「どう言えば伝わるか」を人一倍考えて準備する。その積み重ねが、ちゃんと結果になっていったんです。
数字は、才能じゃなく”型”で積み上がる
具体的に、どんな日々だったかも書いておきます。「向いてない」と思っている人ほど、ここを知ってほしいので。
僕のテレアポは、1時間に30件、1日でだいたい200件。黙々と電話番号を押しては、断られる。その繰り返しです。オラついた声の社長から、新人らしき受付の女性まで、本当に幅広い相手と話しました。
最初は緊張しっぱなしでしたが、数をこなすうちに、電話番号を手元を見ずに打てるくらいには慣れました。電話していい時間は決まっていたので、オンとオフもはっきりしている。ダラダラ続く感じがなくて、これも自分には合っていました。
そして、ただ数をこなすだけじゃなく、死ぬ気で決裁者の名前を聞き出したり、意地でも「いつなら戻ってますか」を教えてもらったり——小さな工夫を積み重ねました。
ここで大事なのは、これが才能じゃなく”型”と”行動量”でできているということです。センスがある人だけができる仕事じゃない。やり方を覚えて、量をこなして、振り返って改善する。その再現性こそが、僕に「自分にもできるかも」という手応えをくれました。
販売では一度も持てなかった、その感覚です。
まとめ:「向いてない」は、才能の判定じゃない
最後に、もう一度だけ言わせてください。
あなたが感じている「営業に向いてない」は、たぶん才能の判定じゃありません。まだ、自分に合う”型”と”場所”に出会っていないだけかもしれない。
内気で吃音もあって、対面販売で全然売れなかった僕が、電話の営業では弱点が武器に変わりました。同じ自分なのに、です。変わったのは、能力じゃなく、置かれた場所と、身につけた型だけでした。
だから、「向いてないから辞める」と決めてしまう前に、一度考えてみてほしいんです。自分には、どんな営業の型が、どんな場所が合うんだろう? って。
もしこの記事を読んで、「自分のことだ」と感じた人がいたら——その気持ち、コメントやSNSで吐き出してみてください。かつて「向いてない」と絶望していた人間として、僕はあなたの味方です。
そして、「じゃあ、自分に合う営業ってどう探せばいいの?」と思ったら。具体的な動き方を、こちらの記事にまとめています。(→ 営業を辞めたい・転職したい20代へ。動き出す前にやるべき5つのこと)一緒に、考えていきましょう。


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