INFPに営業職は、基本的に向いていません。ただしそれは「あなたにやりたいことがないから」でも「天職がまだ見つからないから」でもなく、価値観に合わない売り方を強いられる環境にいるからです。だから「何がやりたいか」をいくら探しても見つからないのは当然で、順番が逆なんです。この記事では、天職を探すのではなく「消耗しない環境」を先に見つける手順を、量販店から法人営業へ移った当時の僕の実体験でお話しします。
「将来、何がやりたいの?」——面談で店長にそう聞かれて、僕は何も答えられませんでした。売り場に突っ立ったまま1日が終わる。やりたいことどころか、明日も来たくない。頭にあったのはそれだけでした。
家電量販店にいた頃、僕はSVから「ちゃんとやって」と毎日10回は言われていました。自分では丁寧に、慎重に、怒られないようにスピードも上げてやっているのに、なぜできないのか分からない。「覚えれば誰でもできる仕事」と言われて入ったのに、3ヶ月経っても4ヶ月経っても、できるようになる気がしない。誰でもできる仕事ができないなら、自分に価値なんてないんじゃないか——本気でそう思っていました。
そんな状態で「やりたいこと」なんて出てくるはずがありません。毎日を耐えるだけで精一杯の人間に、夢を語れというほうが無理な話です。当時の僕にとって「やりたいことが分からない」は、甘えでも準備不足でもなく、価値観に反する環境で心が消耗しきっているサインでした。INFPのあなたが同じ場所に立っているなら、まず知ってほしいのはそこです。
「やりたいことが分からない」の正体
探すほど、自分が空っぽに思えてくる
「やりたいこと」を探そうとすればするほど、何も出てこない自分に気づいて落ち込む。INFPは自分の内側の価値観を大事にするぶん、「本当にやりたいこと」への基準が高く、生半可な答えでは納得できません。だから探すほど苦しくなります。
好きなことを仕事にできない自分を責めてしまう
「好きを仕事に」という言葉が刺さって、それができない自分をダメだと感じる。でも消耗している間は、好きなものにすら手が伸びません。責めるべきは自分ではなく、心をすり減らす環境のほうです。
周りはやりたいことがあるように見えて焦る
同期や先輩が目標を持って働いているように見えて、自分だけが取り残された気がする。けれど多くの人は「やりたいこと」ではなく「消耗しない場所」を先に見つけただけ。順番が違うだけなんです。
向いてない営業と、続けられる仕事の切り分け
ここで大事なのは、天職を探す前に「消耗する条件」を先に外すという発想です。ひとくちに営業と言っても中身はまるで違います。断られ続ける飛び込み、数字だけで詰められる管理、価値を感じないものを押し込む売り方——これらは価値観を大切にするINFPには向きません。
逆に、相手の課題にじっくり寄り添える営業、自分のペースで改善を回せる営業なら、同じ「営業」でも続けられます。つまり問うべきは「営業が向いているか」ではなく、「どの環境なら自分がすり減らずにいられるか」です。
そこで、天職をいきなり探すのではなく、次の順番で「合う環境」を絞り込んでいきます。①今の職場で消耗している条件を具体的に書き出す ②その条件を避けられる職種を知る ③一人で抱え込まず、強みの言語化を手伝ってもらう。この3ステップです。まずは②の候補から見ていきましょう。
INFPが消耗しにくい職種の候補
① インサイドセールス
電話やメールで見込み客とやり取りするIS(インサイドセールスとは?)は、飛び込みや対面プレッシャーが少なく、自分のペースで改善を回しやすい仕事です。お客さんの来店に左右されず、自分から動いた分だけ結果につながるのも、受け身になりがちな販売職とは対照的でした。
② カスタマーサクセス
すでに契約した顧客の成功を支えるCS(カスタマーサクセスとは?)は、「売る」より「寄り添う」が主軸。相手の役に立ちたいというINFPの価値観と噛み合いやすい職種です。SaaS(サースとは?)系の企業に多くあります。
③ SaaS・法人向けの提案営業
形のあるモノを押し込むのではなく、相手の課題を聞いて解決策を提案するBtoB(ビートゥービーとは?)の提案営業は、論理的に組み立てられるぶん、勢いや声の大きさで戦わずに済みます。じっくり考えるのが得意な人に向いています。
④ マーケティング・企画寄りの職種
直接売るのではなく、売れる仕組みを作る側に回る道もあります。人と大量に対面するより、腰を据えて一つのことを深めたいタイプには、企画・マーケ寄りの職種が合う場合があります。
その後、僕がどうなったか
「やりたいことが分からない」ままでも、僕は動きました。先に退職日を決めて、10月から12月までの約2ヶ月を短期戦と決め、休みの日も通勤時間もほぼ転職活動に充てました。多くの対策を広げる余裕はなかったので、時間は「自分とマッチする仕事内容の分析」だけに使いました。天職を探すのではなく、消耗しない条件を満たす仕事を絞る作業です。
結果は、職務経歴書を出したのが30社、一次面接まで進んだのが10社、二次面接が5社、内定が2社。「自分に価値なんてない」と思っていた人間の数字がこれでした。低く見積もっていたのは、いつも自分自身だったんです。
転職エージェントは4社使い、いちばん密に連絡が取れて面接練習もしてくれる1社に絞りました。言語化が苦手な僕に真摯に向き合ってくれたのが決め手です。そのとき言われた「弱みが強みに変わることはないけれど、まだ見つかっていない強みはたくさんある」「内定を取るのがゴールじゃない、妥協せず働くイメージを膨らませましょう」という言葉は、今も覚えています。
移った先はインサイドセールスでした。変わったのは、自分のやり方で電話でき、すぐに改善を回せること。言い訳が誰にもできない環境だからこそ評価が平等で、そこにやりがいを感じました。一方で変わらなかったこともあります。事務作業は今も苦手で、誤字や数字のずれがたまに出る。ただ最近はAIでチェックを自動化して、漏れを潰せるようになりました。すべてが解決したわけではありません。それでも、消耗する環境から出られたことは、僕にとって大きな一歩でした。
一人で「やりたいこと」を探し続けていたら、僕はきっと今も売り場で突っ立っていました。抜け出せたのは、自分の強みを外から言葉にしてもらえたからです。あの頃の僕に教えたいのが、これでした。
まとめ
「エージェントに頼るのも不安」という人には、教わって身につける選択肢もあります。転職そのものを一から伴走してくれる場です。
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