売りたくないものを売るのがつらい|罪悪感で消耗する20代の販売・営業からの転職

転職コラム

「この人には、本当は必要ないのに」——そう思いながら、今日もオプションを勧めた。レジ横で保証を付けてもらい、上位機種に誘導し、数字を作る。閉店後にひとり売上表を見ていると、達成感よりも先に、うっすらとした後ろめたさと虚しさが残る。

売りたくないものを売る毎日に、心がすり減っていませんか。それは「甘え」でも「向いていない」でもなく、売り方があなたの価値観と噛み合っていないサインかもしれません。家電量販店の店頭で同じことに消耗し、そこから法人営業・インサイドセールスへ移った内向型の僕の経験をもとに、罪悪感で消耗しない売り方への現実的な道を書きます。

この記事の要点

・「売りたくないものを売る」つらさの正体は、罪悪感と虚無感の二重構造

・それは人格や才能の問題ではなく、売る「モノ」と「やり方」が合っていないだけのことが多い

・20代なら、納得して売れる商材・売り方の仕事へ移り直せる

・一人で抱えず、20代専門のプロに現状を言語化してもらうのが遠回りに見えて近道

「売りたくないものを売る」つらさは、何が消耗しているのか

家電量販店の店頭に立っていた頃、僕がいちばん苦しかったのは、ノルマそのものよりも「本当はこの人に要らないもの」を勧める瞬間でした。予算が厳しそうな家族連れに上位モデルを押し、いらなさそうな延長保証を付けてもらう。売れれば店長の機嫌は直る。でも、お客さんが帰った後の背中を見送るたびに、胸の奥が少しずつ削れていく感覚がありました。

この消耗は、ふたつの痛みが同時に起きています。ひとつは罪悪感——自分の言葉で相手に不利益を渡したという感覚。もうひとつは虚無感——「自分が何のためにここに立っているのか分からない」という感覚です。この二重構造に気づかないまま「気合が足りないだけ」と自分を責めると、どんどん逃げ場がなくなります。

必要ない人にまで売らないと詰められる

「なんで保証付けさせなかったの」「あの客、絶対いけただろ」。売らない選択をしたことを責められると、次第に「お客さんのため」より「詰められないため」に売るようになる。良心が、成績表の前で毎日負けていく感覚です。

売れた数だけが、自分の価値みたいに扱われる

朝礼で読み上げられるのは台数と金額だけ。人柄も、丁寧な接客も、数字にならなければ無かったことになる。「ロボットが売った方がマシ」と言われて、反論できなかった日もありました。突っ立っているだけで一日が終わる日は、なおさら虚しい。

お客さんの顔を思い出すと、夜がしんどい

強めに勧めて買わせた人の、少し困ったような表情。それを寝る前に思い出す。売れたはずなのに、なぜか気持ちが晴れない。この「後ろめたさが持ち帰りになる」状態が続くと、仕事の外の時間まで侵食されていきます。

この痛みを、僕は長いあいだ「自分の売り方が下手だからだ」と思い込んでいました。でも一人で抱えていたその思い込みは、あとで崩れます。あの頃の自分に教えたいのが、次のことです。

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「売り方が悪い」のではなく「売る対象が合っていない」だけ

大事なのは、営業や販売には大きく分けて「数で押す売り方」「課題を解決する売り方」があるということです。家電量販店のような店頭販売(BtoC・BtoB(法人向け/個人向けの違いとは?)のうちBtoC)は、来店客をその場でどれだけ数字に変えるかの勝負になりがちで、必要かどうかより「今日売れるか」が優先されやすい構造です。

一方で、相手の課題を聞いて、本当に必要な人に必要なものだけを届ける売り方もあります。同じ「営業」でも、消耗する種類がまったく違う。あなたが罪悪感を覚えるのは、良心が正常に働いている証拠であって、向いていないからではありません。

参考までに、厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」によると、大学卒で就職後3年以内に離職した人は33.8%。つまり3人に1人が3年以内に環境を変えています。合わない売り方の場所から動くことは、特別な失敗ではなく、よくある軌道修正です。

罪悪感で消耗しにくい、売り方の選択肢

「押し売りしない売り方」に寄せていくと、次のような職種が候補になります。いきなり全部を狙う必要はなく、いまの経験と地続きで移れるものから見ていくのが現実的です。

ルート営業(既存顧客の深耕)

すでに取引のある相手を回り、困りごとを聞いて解決する仕事。新規開拓の飛び込みが少なく、「関係を育てる」性質が強いので、押し売りの罪悪感が生まれにくいのが特徴です。丁寧に人と向き合える人ほど評価されます。

インサイドセールス(IS)

IS(インサイドセールスとは?)は、電話やメールで見込み客と関係を作り、興味のある相手に情報を届ける内勤中心の営業です。店頭のように「その場で今日売る」プレッシャーではなく、相手の検討に伴走する感覚に近い。僕が量販店の次に落ち着けたのがここでした。

カスタマーサクセス(CS)

CS(カスタマーサクセスとは?)は、買ってくれた後のお客さんが成果を出せるよう伴走する仕事。売り込みではなく「使いこなしてもらう」ことが目的なので、「売って終わり」の後ろめたさとは構造的に無縁です。

課題解決型の法人営業(BtoB)

企業を相手に、相手の業務課題を聞いてから提案する営業。単価も検討期間も個人向けとは違い、「無理に今日売る」より「合うものを一緒に選ぶ」比重が高い。僕自身、店頭から法人営業に移って、初めて「納得して勧める」という感覚を持てました。

「自分にはどれも無理そう」と感じても大丈夫です。次に何を選ぶか以前に、まず今の不安を口に出せる相手がいると景色が変わります。一人で抱えていたものを、プロと言葉にするだけで整理がつきました。

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店頭を辞めた後、何が変わって、何は変わらなかったか

正直に書くと、環境を変えても全部が魔法のように良くなったわけではありません。量販店を辞めて法人営業に移り、その後インサイドセールスに落ち着くまで、僕にも迷いと足踏みの時期がありました。

変わったことは、「これは相手の役に立つ」と自分で納得してから言葉にできるようになったこと。売れた日の帰り道に、後ろめたさではなく手応えが残るようになりました。数字も、押し込むためではなく「合う人に届いた結果」として見られるようになった。

変わらなかったこともあります。僕は今も雑談や初対面のノリは得意ではないし、大勢の前で話すのは緊張します。内向型の性質そのものは消えません。ただ、それが「弱み」として詰められる場所から、静かに課題を聞ける場所へ移っただけで、同じ性格でも息のしやすさはまるで違いました。合わない場所で自分を削るのと、合う場所で自分のまま働くのは、別の話なのだと思います。

まとめ:良心が痛むのは、あなたが壊れていないから

売りたくないものを売るつらさは、罪悪感と虚無感の二重構造。人格の問題ではなく、売り方と価値観のミスマッチ。
同じ営業でも「数で押す売り方」と「課題を解決する売り方」は別物。消耗する種類がまるで違う。
ルート営業・IS・CS・課題解決型のBtoBなど、押し売りしにくい売り方の選択肢は実在する。
3人に1人が3年以内に環境を変える時代。20代の軌道修正は失敗ではなく、よくある選び直し。

とはいえ「転職が早すぎないか」「次で失敗したら後がない」という不安は、僕にもありました。それを支えてくれたのは、20代の転職を知り尽くしたプロの存在でした。

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「エージェントに相談するのもまだ不安」という人には、転職そのものを基礎から教わって身につける選択肢もあります。

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