結論から言います。INFPのあなたに、「相手を説得してねじ込む営業」は基本的に向いていません。共感しすぎて相手のためらいまで抱え込み、数字で人を追い込む文化に心をすり減らすからです。ただし「営業」とひとくくりにするのは危険です。同じ営業でも、INFPが消耗する種類と、意外と続けられる種類があります。この記事では、その見分け方と、量販店を辞めたあとに僕自身がどうなったかまで、正直に書きます。
「お前が売るよりロボットが売った方がマシ」と言われた夜
閉店後のバックヤードで、店長に売上表を見せられながら「お前が売るよりロボットが売った方がマシ」と言われたことがあります。反論できませんでした。家電量販店のフロアに立って3年目、その月の売上ランキングは、店舗で最下位だったからです。
その日の帰り、僕は電車で吊り革につかまったまま、何も考えられませんでした。足は棒のようで、声は一日中ほとんど出していない。お客さんに声をかけるたびに心臓が締めつけられ、断られるたびに、自分の存在ごと否定された気がしていました。ほかの人が笑って受け流せる一言を、僕は家まで持ち帰って何度も反芻してしまう。
一番きつかったのは、忙しさよりも「虚無感」でした。売れない日は、フロアに突っ立ったまま一日が終わる。何のためにここにいるのか分からない。それでも心の奥では『自分はこんなところで終わるはずがない』という、根拠のない自信だけは消えなかった。その矛盾が、毎日じわじわと僕を削っていきました。
当時の僕は、内向型で、価値観に合わない売り方が苦痛でした。強引に契約を取っていく同僚を見て、すごいと思う一方で、ああはなれないし、なりたくもないと感じていた。——もしあなたが今、同じ場所に立っているなら、この先を読んでほしいです。「向いてない」の中身を、もう少し正確に見ていきます。
INFPが「営業に向いてない」と感じる本当の理由
① 断られると、取引の結果ではなく「自分への評価」として受け取ってしまう
営業は断られる仕事です。でもINFPは、断りの言葉を「今回は縁がなかった」ではなく「自分がダメだったから」と受け取りやすい。相手がためらう気持ちにまで共感してしまうから、最後のひと押しが言えない。優しさが武器にならず、むしろ自分を刺す刃になってしまうのです。
② 数字で人を詰める文化が、価値観と正面からぶつかる
「今月あと何件」「なぜ売れない」。数字だけで人を追い込む文化は、INFPの『意味や納得を大事にしたい』という価値観と真正面から衝突します。売ること自体より、”そう詰められている自分”に耐えられなくなる。これは甘えではなく、価値観のミスマッチです。
③ 気疲れが、翌朝までに回復しない
人と話し続けた日の消耗が、INFPはとにかく抜けにくい。接客で使い切ったエネルギーが、寝ても戻らない。気づけば休日も仕事のことを考えてしまい回復できず、消耗が借金のように積み上がっていきます。「気合いが足りない」のではなく、回復の仕組みが人と違うだけです。
「向いてない営業」と「続けられる営業」は別物だ
ここで大事なことを一つ。あなたが向いていないのは『営業ぜんぶ』ではなく、『特定のタイプの営業』かもしれません。
飛び込みや強引なクロージングで数を追う営業は、たしかにINFPには過酷です。一方で、相手の課題をじっくり聞いて、合う解決策を一緒に探すタイプの営業なら、INFPの共感力がそのまま強みになります。同じ「営業」でも、消耗する営業と、続けられる営業があるのです。
『向いてない』で思考を止めると、”営業=無理=自分はダメ”まで一気に飛んでしまう。でも本当は、種類を見分けるだけで、選択肢はぐっと広がります。
INFPが消耗しにくい営業・その周辺の仕事
インサイドセールス(IS)
電話やメール、オンラインで見込み客とやり取りするIS(インサイドセールスとは?)。飛び込みや対面の圧が少なく、事前に話す内容を準備してから臨めるのがINFP向きです。台本を用意して、落ち着いて相手の話に集中できます。
カスタマーサクセス(CS)
すでに契約した顧客の成功を長く支えるCS(カスタマーサクセスとは?)。新規をひたすら追い立てる営業と違い、”相手のために伴走する”のが仕事の中心。INFPの共感力と誠実さが、そのまま評価につながります。
SaaS・BtoBの提案型営業
個人向けに数を売るBtoCではなく、SaaSやBtoBの提案型営業。相手の課題をヒアリングして解決策を設計する比重が高く、”売り込む”より”一緒に考える”仕事です。準備と関係づくりで戦えるので、瞬発力で勝負しなくて済みます。
営業事務・営業サポートへの横スライド
どうしても営業そのものが合わないなら、営業事務やサポート職へ横スライドする道もあります。営業で培った”相手の立場で考える力”は、多くの職種で通用します。「営業をやめる=逃げ」ではありません。
その後、僕がどうなったか
あの量販店を、僕は結局辞めました。次に選んだのは、法人相手の営業でした。
移ってみて、変わったことがあります。まず、目の前のお客さんに突然声をかけては断られ続ける、あの消耗がなくなりました。法人営業は、事前に相手の会社を調べ、何を話すかを準備してから臨めます。行き当たりばったりではなく、”準備でカバーできる”。これは内向型の僕にとって、想像以上に大きな救いでした。その後さらにIS(インサイドセールス)へ移り、対面の圧そのものからも距離を取れるようになりました。
一方で、変わらなかったこともあります。大人数の飲み会や、とっさの雑談は、今でも苦手です。会話の瞬発力は相変わらずないし、断られた日に引きずる癖も、完全には消えていません。転職は”苦手が全部消える魔法”ではなかった。ただ、”苦手が致命傷にならない場所”には、確実に移れました。
正直に言うと、動く前が一番こわかった。『次で失敗したら後がない』『コミュ力のない自分に転職なんて無理だ』と思って、動けないまま何ヶ月も過ぎました。でも今振り返れば、合わない場所で消耗し続けるほうが、よほど後がなかったと思います。
当時の僕がいちばん不安だったのは「面接で言葉が出ないこと」でした。あの頃の自分に教えたいのが、これです。
まとめ:INFPは「向いてない」で終わらせなくていい
「エージェントに頼るのも不安」という人には、教わって身につけてから動くという選択肢もあります。
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